深セン PCBワークショップレポート
皆さん、こんにちは。自給力です。
今回は2019年11月に中国の深センでdotstudioと現地の企業さんとの合同で開催したPCB設計ワークショップについてレポートしていきたいと思います!
深センでの旅のレポートやMaker Faire Shenzhenのレポートも後日アップしますので、そちらもぜひ併せて読んでくださいね。
ワークショプ概要
いつも当たり前のように使っている開発基板ですが、作ったことがないって方も多いのではないでしょうか?
今回のワークショップの目標は開発基板の発注から実装までを3日間で完了すること!
ワークショップの講師は秘密結社の総統こと河野さん、いつも白衣を身に纏った謎多き男です笑
さぁ、果たしてPCB初体験の素人は3日間で開発ボードを完成させることができるのか!!??
ワークショップの流れ
今回のワークショップは、ざっくりと次のような流れで進んでいきました。
前準備: 作る物を決めて、何が必要になるかを洗い出す。
↓
①: KiCadを使ってボードの設計を行う
↓
②: PCB請負業者(PCB GoGo)に発注する
↓
③: 開発基板に実装するパーツを買い出し
↓
④: 基板を受け取り、ハンダ付け
↓
最後: 動作確認して完成!
KiCadを触ってみよう
今回は基板の設計をするのにKiCadを使っていきます。
正直、誰でも簡単にできるとは言いにくいツールですが、PCBの発注に興味ある方はぜひインストールしてチャレンジしてみてください。
*今回のワークショップで紹介されたKiCadの使い方は総統の記事に書かれていますので、細かく知りたい方はぜひ併せて読んでみてください。
KiCadをインストールする
まずはネット上からKiCadをインストールしていきます。
簡単にできた!と言いたいところですがインストール時から注意しなければいけない点があります。
インストーラーを開くとこのように2つファイル(「KiCad」と「kicad」)が表示されます。
これらは必ず2つともインストールしてください。上のファイルだけインストールしてしまうと、設計の時に使うパーツを表示させることができません。
*僕は完全に2つ目のファイルをダウンロードし忘れて大分遅れました。最終的には総統のPCを借りるハメになり……。
KiCadのインストールリンク
実際に設計してみる
実際に設計を初めても、これが中々慣れるのが大変でした……。
配線はグチャグチャになるし、エラーの意味はわからないしで……。
ここの作業はけっこう練習が必要になると思います。
基板発注はPCB Go Goへゴー!
KiCad設計をし出力したGerber fileとdrill fileをPCB請負業者であるPCB Go Goに送り発注していきます。
PCBGoGoはPCB発注をオンラインで受けてくれるサービスです。
こちらのサービスでは最短でなんと12時間で基板製造してくれます!さらに、中国国内であれば翌日には基板が手元に届くんです。このスピード感には本当に驚きました。
このスピード感を例えると、kinkosで名刺発注するくらいの感覚で基板製造できてしまうんです笑
本当に早い!
では、発注していきましょう。
基板の色や形を設定していきます。
これで後は配送状況を確認しながら待つだけです。
深センは電子パーツの楽園
基板が到着するまでに表面実装に使うパーツを集めるため電気街に出ます!
ここ華強北という街は、さながら電子部品の楽園。どのくらいの規模感で電子部品のお店があるかというと、一般的に秋葉原の30倍の規模と言われています!!
デカイ!!
これ全部パーツ屋さんです。
パーツを集めるならココ
総統のオススメ店(CJさんのお店)
総統のオススメ店(半田ごてのお店) *秋葉原のお店にも直接下ろしているんだそうです。
ボードを受け取り、ハンダ付け!
そんなこんなで、パーツやらガジェットを眺めながらお買い物したり、他の作業をしたりしていると、あっという間に時間は過ぎていきました。
ある朝、ワークショップ会場に集まると、
総統「皆さん、発注した基板届いたみたいですよ!」
一同「うおー、やった-ーー!!!」
苦労した甲斐もあり、皆感動を隠せない様子です。
さっそく基板を取りにいきます。
基板を受け取った人たち
のびさんが作ったIoTLTバッチの基板
僕は作業が遅れてしまい1日遅れで届きました。
手にしてみると、まるで子供を産んだ時のような感動!(産んだことないけど(笑))
ここにパーツを載せていきます。なんだかドキドキ!
ハンダ付けをする時のTips
ここで総統から教わったハンダ付けする時のTipsを共有します!
①ハンダごては2本準備するべし
ハンダごては基本的にナイフ型のものがオススメ。しかし、ナイフ型だけだと作業しずらい場合もあるため、もっと細い先端のハンダごても用意して2刀流でやるのが効率的なんだとか。(こての先端は簡単に取り替えられますが、一度温めると熱くて取り替えられません。また、冷まそうとしても時間がかかります。)
②ピンセットを用意すべし
基板の大きさにもよるのですが、小さい基板に表面実装する時や、小さいチップを扱う時には素手で作業するのは不可能です。必ずピンセットを用意しましょう。
③失敗しても諦めてはいけない
これはハンダ付けしながら思ったのですが、今まで中々経験してこなかったハンダ付けですし、間違って当たり前、動かなくて当たり前くらいに考えておかないと心が折れます……。
心が折れないためにも、最初は表面実装で何回も失敗してもいいように発注時の枚数は15枚以上で注文するのもいいかもしれません。
経験者は語る「初めてのPCB発注/表面実装で気をつけること」
経験者:自給力
・KiCadのインストールは絶対チュートリアル通りにやったほうがいいです。僕は、後から再インストールしようとしても、うまく動かず泥沼にはまっていきました。
・KiCadのアプリはかなり容量を必要とするのでUSBなどに入れておいた方が楽かもしれません。
経験者:Mさん(Proto Out Studio1期生)
・Taobaoのアカウントは予め作っておくといいよ。(検索が使えないので…)
*補足:表面実装のための部品を集める時にTaobaoを使いました。
・PCB基板設計は簡単なものなら意外とハードルが低いよ。
まとめ
深センでのPCBワークショップレポートいかがだったでしょうか?
少しでも、中国でのPCB設計のスピード感や日本での開発環境との違いを感じていただけたら嬉しいです。
ワークショップを通して感じたことをまとめると2点あります。
① 深センは電子パーツや基板設計に対しての距離間が近い。
発注したら次の日には手元に届く手軽さや、選べないほどの数の電子パーツのお店があるところは、この街ならではの特徴なのかなと思います。この距離間で日々過ごしていたら、アイディアをデバイスなどの形にするスピード感も速くなっていくんだろうなと感じました。
②PCBの発注は簡単ではない、でもできなくはない。
どうしても、「基板設計」等と聞いてしまうと心理的なハードルが高くなってしまいますが、ご覧いただいた通り全ての操作はオンラインで終わりますし、日本で発注したとしても1週間〜10日間程度で自分で設計した基板が届きます。そう考えると、簡単な設計であればPCBで自分の基板を作ってみることはそんなに難しくはないです。僕自身、このワークショップで大分抵抗は減りました。
以上です。
皆さんも、ぜひPCB発注試してみて下さいね!